メキシコ鉄道めぐり(その1)
メキシコは旅客鉄道が衰退してしまった国。行こうと思っているうちに日常の足として使われる鉄道はほとんどなくなってしまいました…。現在走るのは観光用鉄道が二つ、ケーブルカーが一つ、地下鉄が3都市15路線、通勤用近郊鉄道が1路線、軽快電車が1路線。ちょっと治安が不安で、スペイン語ができないと危ないかもしれないモンテレー(Monterrey)の地下鉄2路線は見送ったのですが、それ以外に2011年1月29日から2月12日にかけて乗ってきました。今回は2011年1月29日に乗車した観光用鉄道、チワワ太平洋鉄道を紹介します。
このほかトーマスクックのヨーロッパ以外版時刻表(Thomas Cook Timetable Oversea's Edition)には、クアトロシネガス(Cuatro Cienegas)-シエラモジャダ(Sierra Mojada)間と、フェリペペスカドール(Felipe Pescador)-トレオン(Torreón)間の旅客列車が掲載されていたのですが、行ってみたら走っていませんでした…。
チワワ太平洋鉄道は、ロスチモスとチワワの間を結ぶ山を越える鉄道。急行列車1日1本、各駅停車が週3本走っています。いずれも朝発夜着。ホントは普通列車に乗りたかったのですが、普通列車は終着駅に深夜着。景色を楽しめる区間が長い急行列車にロスチモスからチワワまで乗車しました。ちなみにチワワ太平洋鉄道のWebページはこちら(英語またはスペイン語)
ロスチモス、チワワの場所はここ。
より大きな地図で チワワ太平洋鉄道 を表示
ロスチモス駅は街のはずれにあります。急行列車は朝6時発でまだバスが動いていない時間。そこで中心街のホテルからタクシーで向かいました。言い値で100ペソ、671円。きちんと交渉すれば半値くらいで済む気がします。
夜明け前のロスチモス駅。軽食や飲み物の移動販売車(ちなみにコーヒー1杯P10、67円)が来ていました。
私はきっぷを予約していなかったのですが、窓口で問題なく購入。クレジットカードも使えました。ねだんはP2179(1万4126円)。距離は653kmで、日本の基準にしたらそんなに高くありませんが、メキシコの乗り物としてはおどろくほど高いといえるでしょう(都市間バスなら同じ距離でP500からP600くらい)。ただし途中の一部区間は平行道路もないも同然の状態で、各駅停車(全区間でP1090)は地元の人の足でもあるようです。
車両はこんなかんじ。
屋根に家庭用のエアコンみたいな室外機が載っているのが印象的。
車内はこんなかんじ。
豪華で広々したリクライニングシートでなかなかよいかんじ。
ちなみに列車には食堂車もついていますが、値段が高いうえ、観光客ずれしているせいかメニューの額以上の請求をしたりおつりをくれずに平然としていたりするウエイターさんがいるので、そういうのを不愉快に思う人は使わないほうがよいと思います。メキシコ人の名誉のために申し添えておきますと、このようなことはメキシコでは珍しいことです…。
でもここまではまだ序の口。列車はやがて本格的に山の中へ。
S字カーブなどを使いながら高度をかせいでいきます。
途中で貨物列車や対向の急行列車とも行き違い。
行き違いの駅では、行き止まり線で列車をやり過ごしてからバックして発車したりします。列車が多くない路線のためか、ポイントを扱うのも列車の乗務員のようでした(たぶん)。
途中のサンラファエル(San Rafael)駅では、地元の人が民芸品を販売に来ていました(トップの写真も)。
ここらへんまで来ると標高は2400m。30分ほど先のディビサデロ(Divisadero)駅では15分ほど停車するので、駅のすぐそばの展望台から高低差1000mの渓谷を眺められます。
当日は雨模様で、景色はよくわかりませんでした…。でも大丈夫、お店が出ているので買い物も楽しめます。
おみやげに興味がなければ、買い食いがおすすめ。
私は二つの店でそれぞれ一つずつトルタ(とうもろこし粉で作った無発酵パンで具をはさんだ食べ物)を買いました(それぞれP20、134円)。あわせて買ったミネラルウォーター600mlがP10(67円)。
お店によって微妙に味は違うのですが、なかなか素朴なかんじ。ちなみに急行列車は客室内での飲食は禁止。買い食いはデッキで。
ディビサデロ駅を出ると雪模様に。冬とはいえ、沖縄とさほど変わらない緯度なのに、寒いです…。
ディビサデロ駅から1時間ほどのピトレアル(Pitoreal)駅で大半のお客さんが降りたあと、列車が執着のチワワ駅に着いたのは21時。
チワワ駅周辺はちょっとさびしいところなので、タクシーでさっさと目星をつけておいたホテルへ移動。やっぱりP100(671円)。
とういわけで途中で絶景も楽しめるはずのチワワ太平洋鉄道。全線乗りとおすのはあんまり一般的でないかんじもしますが、途中で下車して楽しむのは国際的にも一般的な観光ルート。乗り物好きなかたもそうでない方もぜひ、いかがでしょうか…。
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コメント
特に暑い所でもないのにどうしてこんな不細工なエアコンユニットにしたのでしょうか
本来はメキシコ三菱電機製が7つ装着されてました
車両本体は近畿車両のメキシコ製で国営車両製造会社(CNCF 現在はBombardier de Mexico)で生産されました
国鉄のオハ14をそのまま25mにした様な形で定員も同じ72人ですから新幹線のグリーン車よりゆったりしたます
投稿: 墨爺 | 2011/05/04 10:34
墨爺さま、コメントありがとうございます。エアコンユニット、不細工というか、揺れや強風で倒れたりたりしないか、心配でした…。なお車両の暖房はエアコンユニットのヒートポンプ機能を使っていました。暖房が使えるようにするために、冷房専用のエアコンから冷暖房兼用のエアコンに取り替えたのかもしれません。チワワ付近は記録的な寒さだったこともあって、日が暮れるとヒートポンプの暖房は効かずにかなり寒かったのですが…。
投稿: 私はAと申します | 2011/05/11 23:57